第10章 下忍スタート
「ごめんください。木の葉の里の者ですが。」
開け放たれたドアから、声をかけた。
赤い屋根に、黒っぽい赤のレンガを漆喰っぽいもので固めた壁。
全体的に丸いフォルムのちょっとこじんまりした可愛い家だと思う。
中は、入ってすぐにソファがあって、その向こうにダイニングテーブルが見える。
その向こうは多分キッチンかな。見えないけど。
暫くすると、中から、は〜い、とお婆さんの声がした。
はいはい、と言いながらゆっくりと出てきたお婆さんは、私達を見るなり破顔する。
「あら、いらっしゃい。依頼で来てくれたのね。」
「はい。今日はよろしくお願いします。」
先生はお婆さんににこやかに返した。
「…何じゃ。子供が来たんか。」
奥から別の声が聞こえた。
お爺さんの声か?
「護送だと言っとったから、てっきり里の忍がくるかと思うとったのにのぅ。」
お婆さんの後ろから気難しそうな愛想の悪いお爺さんが現れた。
一応、私達は忍の端くれなんですが…。
「ははは…。この子達はこう見えて忍ですのでご安心を。」
私からじゃ先生の背中しか見えないからどんな顔してるのかは知らないけど、結構戸惑ってるみたい。
隣のトウキ達を見ると、ムッとしてた。
そのお爺さんは、先生の言葉も、ふん、と鼻で笑い飛ばし冷めた視線を私達に向ける。
「子供に何が出来る。うちはヤギ達を売って生計を立ててるんじゃ。一頭でも盗まれました、逃げられましたじゃ済まんぞ。」
「黙って聞いてりゃ…!」
「俺達の力を知らないくせに…!」
トウキとユウは、お爺さんの言葉に熱り立って言葉を荒げた。