第10章 下忍スタート
「それじゃ、自己紹介も済んだ事だし。今から任務行きますか。」
そう言って、ナナホ先生が徐に立ち上がった。
いやいやいや、聞き違いですか?
今任務って言わなかった?
「どういう事ですか?」
トウキが先生を見上げて問うと、先生はにっこり笑う。
「そのまんまだよ。任務受けて来たから今からみんなで行こう。」
「「「えぇぇぇ!!!?」」」
私達は声を揃えて叫んだ。
これが叫ばずにいられるか!
「いきなり!?」
「最初はもうちょっと訓練とかフォーメーションの確認とか無いですか!?」
ユウと私は先生に詰め寄った。
いきなり実践とか鬼か!
「え?実践が一番色々学べて為になるよ?さっ、行こう行こう。」
先生はそう言って歩き出してしまう。
「「「えぇぇ〜…。」」」
大人しそうな顔してえげつないわ〜、この人。
里を出て一時間程歩いた距離に、長閑な平野にぽつんと一軒家が見えて来た。
家の周りにはヤギっぽいのが何頭か見える。
「あの家ですか?」
私が訪ねると、先生は私をちらりと見て頷いた。
「そうだよ。今回の依頼はヤギを隣町まで連れて行く事。」
それを聞いたユウは、なんだと言わんばかりに肩を落とした。
「依頼って言うからてっきりもっと凄いのがくるかと思った。」
「はははっ。最初はみんなこういう簡単な任務からスタートするものだよ。ただね、隣町まで連れて行くって言っても油断できない事が起こるかもしれないから気をつけて。」
先生の言葉に私達は、引き攣った顔で互いを見合わせた。
油断できない事って何ですか〜!?