第10章 下忍スタート
校庭の端にある小さな演習場に来た私達は、適当に丸太に並んで腰掛ける。
次いで先生が私達の前に立った。
「改めて。俺は犬塚ナナホっていいます。担当上忍になるのは初めてだから勝手が分からないけど、精一杯やっていくつもりだ。一緒に成長していこう。よろしくね。」
そう言って私に目を向けた。
次は私なのね。
「えーと。うちはエニシといいます。好きなものは三食団子と磯部焼きです。嫌いなものは勉強です。」
「「うそつけ。」」
トウキとユウが間髪入れずに突っ込んだ。
「嘘じゃないっつの。」
私だって必要に迫られなけりゃ、やらないよ。
それに、人の自己紹介にケチつけるってどういうことよ。
「信用性がないわ。」
「そうだよ。お前、影分身ちょこちょこ出しては図書室でガリ勉してんじゃん。」
トウキに次いでユウが言い返してきた…んだけど…。
「…何でユウがそんな事知ってんの?」
トウキは分かる。話してあるし。
でも、私はユウに言った覚えはない。
「今や図書室の風物詩だよ!知らない奴なんていないよ。図書室の奥側にある棚の影になる所にいつも陣取ってるだろ?」
「…マジで?バレてんの?」
あれぇ?こっそりやってた筈なのに?
冷や汗かいてきちゃったよ。
「知らぬは本人だけって奴だな。」
トウキは呆れ半分な表情を浮かべて私を見る。