第9章 まだ学生でいたいんですが。
次に実技。
とは言っても、分身の術でしょ?
失敗のしようがないよ。
せめてもうちょっと凝った難しいお題だったらね…。
別室に呼ばれた私は、がらがらっとドアを開ける。
すると、真ん中に火影様、左隣に校長、右隣に担任が座って待ち構えていた。
錚々たるメンツだ。
私が中央部に立つと、早速声がかかった。
「エニシ、分身の術。はじめ。」
やっぱりな。
どうしようかな。
実を言えばまだ学生でいたい。
医療術だってようやっと使えるようになったばかりだ。
大変だったんだよ?
病院に押しかけ見学を何度かさせてもらって、実際に手伝わせてもらったり、医療忍術使うところを何度か見せてもらったり。
だから練度で言えばまだまだこれからだ。
もっと練習しなきゃ実践向きとは言えない。
その練習時間を作る為には学生である方が都合がいい。
けどねぇ…。
私はここに来る前にトウキとのやり取りを思い出す。
『俺、お前の写輪眼の修行にかなり貢献したと思うんだよ。その成果もあって、巴二つまで開眼しただろ?』
『ま、まぁ…。』
だからさ、と言いながら、両手で肩を叩かれて、がっちりと掴まれた。
『下忍一緒にやろうぜ。』
『いや〜、でもわたし…』
『貢献したよな?』
…ああ言われちゃうとね。
なんか、態と失敗するのは心苦しい。
っていうか、真顔の圧が凄かったんですけど。
確かに感謝してるよ?
あんなクソめんどくさい修行に付き合ってくれてさ。
お陰で本当に巴が二つまで開いたし。
でもなんかモヤモヤするは気のせいかな?