第8章 宝の持ち腐れ…は、まずいよね
意外だと思った。
イタチでも心細くなるのかな…、なんて。
小さな変化だったけど、帰ろうとした時しょぼんとした様に見えたのは気のせいではなかった気がする。
なんだか可笑しかったな。
イタチが誰かと一緒にいたいと思う人だったとは思わなかった。
想像も出来なかったし。
しかも、それを自分が望まれたのが嬉しかった。
歌いながらつらつらと考えては、時々イタチを見る。
すると、ぱちっと目が合って穏やかに微笑まれた。
…本当に意外すぎる。
サスケと一緒にいるからだろうか。
当の本人は、大好きな兄貴にべったりとくっついて離れない。
手を出して、おいでおいで、しても来やしない。
さっきまでノリノリで両手にぎにぎしてくれたのにさ。ちぇっ。
そんなこんなで、サスケのお守りして待っていたらミコトさんが帰って来た。
「ただいま〜。エニシちゃんありがとう…ってあら。」
重そうな買い物袋を軽々持ちながら、私へのお礼を言いかけて止まった。
イタチを見たからだろうな。
一瞬意外そうに彼を見た後、嬉しそうに微笑んだ。
「イタチ、おかえりなさい。」
「ただいま帰りました。」
イタチも穏やかに微笑んだ。
やっぱり家族が大好きなんだね。嬉しそう。
こういうの見ると、あんな事が起こってほしくないなって心底思う。
さて、報告をっと。
「ミコトさん、子守り任務完了しました。」
私が、戯けて敬礼しながら言うと、ミコトさんはふふっと笑った。
「エニシちゃん、ありがとう。助かったわ。」
そう言って、サスケに手を伸ばす。
彼はそれに抗う事なく、されるがままに抱き上げられた。
「よかったわねぇ、サスケ。楽しかった?」
ミコトさんが笑いかけると、きゃっきゃっ、と喜んだ。
「さて、ご飯の準備しなくちゃ。エニシちゃんも一緒にどう?」
「私は大丈夫です。母さんも夕飯作ってくれてると思うから。また誘ってください。」
ミコトさんからの嬉しい誘いだが、ちゃんとお伺いを立てねば。母さん次第だな。
多分いいとは言うと思うけど、予想で動くと思いがけない返事が返ってくることもあるしね。