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もう一度、を叶えるために。first

第8章 宝の持ち腐れ…は、まずいよね




前世の私の特技は歌う事。
従兄弟の中では評判が良かったんだ。
私の家は個人経営のパン屋さんだったの。
両親は朝から晩まで働いていて、私に構う余裕がなかったから、近所の従兄弟の家に預けられる事がしょっちゅうだった。
そこの家族が、まぁ多い事多い事。
九人兄弟の大家族だった。
上は社会人、下は小学三年生まで。本当、おばちゃん頑張ったなってかんじ。
私はその中で年長組で、預けられた当初は兄弟は三人だった。それが二、三年毎に、ヘタすれば年度毎にぽこぽこ増えていったもんだから、凄い賑やかだった。
夏休みや冬休みはずっと預けられっぱなしだから、朝から晩まで従兄弟と一緒なのだ。
朝起きて三男と四男の喧嘩が勃発。そのまま四女が巻き込まれ、三女も巻き添え。
そんな時、

『由紀、なんか歌ってあいつら黙らせて!』

と、頼まれる。
私も私で歌う事が楽しかったから大喜びで歌うと、不思議や不思議。喧嘩は収まり、最後は手を叩いてやんややんやの大合唱になるのだ。
だから、下手なわけじゃないと思う。
だけど、従兄弟達に言わせると、

『特別上手いってわけでもないんだよねぇ。だけどついつい聞きたくなっちゃう。不思議。』

らしい。
楽しい歌は楽しくなって、悲しい歌はしんみりとしてしまう。聞いてると、そんな風に感情が動くんだって。
私の気分にもよる、とも言ってたな。
私にはよく分かんないけどね。

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