第8章 宝の持ち腐れ…は、まずいよね
で、歌いながらサスケを見てみると…。
「おぅあ!」
よちよちと、はいはいで私の側まで来ると興味津々に私を見上げた。
で、時々声を上げて手を叩く。
掴みはバッチリだぜ!
次々と歌いながら、そっと手を伸ばしてみると、今度は進んでぎゅっと握り返された。
かわぇえ!
で、ノリノリで立ったり座ってりして喜ぶの。
「あら、珍しい。」
ミコトさんが戻ってきて、嬉しそうに笑った。
「サスケは人見知りするのよ。中々人に懐かなくって。エニシちゃん、お歌上手ねぇ。」
ミコトさんはサスケの側に行くと、座りながら抱き上げる。
やっぱり人見知りだったのね。将来を想像するとちょっと笑える。
「良かったねぇ。お姉ちゃんのお歌楽しかったねぇ。」
ミコトさんがサスケに話しかけると、彼は嬉しそうに手を叩いた。
喜んでくれた様で何よりだ。
「じゃあ、今日はこの辺でお暇します。」
そう言って、立ちあがろうとすると、呼び止められた。
「この後何か用事ある?」
「いや、特にはないですけど。」
何だ何だ?
「それじゃあ、ちょっとだけ、サスケをみててくれないかしら。実は今影分身なのよ。」
「え?」
それってどういうこと?
「今、緊急の任務が入っちゃってね。どうしても行かなきゃいけなくて。けど、サスケをそのままには出来ないから影分身を残したの。」
あー、そういうことか。
そりゃ心配だよね。いつ消えるか分かんないし。
まぁ、滅多な事では消えないだろうけど。
そこは生身の人間がいた方が安心できると思う。
それが私でいいのか、って疑問は残るけど、頼ってもらえたのは素直に嬉しい。
「大丈夫ですよ。戻ってくるまでサスケをみます。」
私は笑って了承した。
伊達に大家族で育ってないしね。
下の子の面倒を見るのは慣れている。
「ありがとう。助かるわ。」
ミコトさんは嬉しそうに笑った。