第8章 宝の持ち腐れ…は、まずいよね
で、やってみた。
チャクラがある事は薄ら分かってはいたんだけど、隅々まで感じ取るのはとても難しかった。
血管に流れる血の巡りを感じてみましょうって言われた様なものだ。それって可能なの?って思ってしまう。
「難しいかな。じゃあ、両手を合わせてチャクラを手の間で行ったり来たりさせるのはどう?」
私は言われた通りチャクラを動かしてみる。
チャクラのボールをイメージして、それが手の平の間で行ったり来たり…。
「あ、出来たかも…。」
動く動く。
塊が手の間を動いている。
「じゃあ、それを左の方から胸を回って右に戻すこと出来る?」
私は言われた通り動かしてみる。
左腕、左肩に塊を移動させて、胸を伝って右肩、右腕、右手へと戻す。
「出来た。戻りました。」
私がミコトさんを向くと、彼女は少し驚いていた。
「エニシちゃん、筋がいいわね。」
やったぁ。褒められたぜ!
「最初からチャクラを動かせる人ってそうはいないのよ。チャクラの存在は分かっても動かすまではいかないの。」
「へぇ、そういうもんですか。」
意外だ。
自分にそんな才能があったなんて。
「これが出来るとね、チャクラコントロールがしやすいの。」
そっかぁ。
なんか嬉しいかも!
私は自分の両手をにぎにぎさせながら、思わずにやけてしまう。
「ふふ。嬉しそうね。」
ミコトさんが楽しそうに笑う。
それを膝の上で座って見上げていたサスケは、飽きていたのか、やきもちを焼いたのか、突然暴れ出した。
「あらあら、どうしたの?サスケ。」
ミコトさんが呼びかけても彼の気は収まらないらしい。
何か声を上げながら癇癪を起こしている。
あれ?これってどうしたらいいの?私。
私が密かに焦っていると、ミコトさんは立ち上がってサスケを抱き上げた。
「ほら、よしよし。」
抱っこしながらあやし始めると、不思議や不思議。
ぴたっと泣き止んだ。
「母、強し。」
思わず呟くと、ふっと吹き出して笑われてしまった。
「今にエニシちゃんもそうなるわよ。」
ミコトさんはそう言って楽しそうに笑った。