第7章 あっという間に卒業です
そんなに兄ちゃんを犯人に仕立て上げたいんだろうか。
させないけどね。
「それについての説明は、以前にもした通り…」
「万華鏡と言えど、使いこなせなけりゃただの模様って言いたいんだろ?」
私の言葉を遮りやがったよ、こいつ。
「そうです。そして兄はまだ使いこなせているとは言い難い。」
「何で言い切れる?」
「使いこなせているのなら、何故兄は下忍のままなんでしょうか?そんなに兄は強いと評判なんですか?」
私の言葉にその子は鼻で笑う。
「牙を隠してるだけじゃないのか?」
「それを一緒にいる上忍が見切れないでいるって言うんですか。あなたは兄の担当上忍を馬鹿にしてるんですか?」
そういうと、その子は言葉に詰まる。
「ついでに言わせてもらいますけど、兄にアリバイがある証明として、その日受けていた任務報告書の控えもあります。これには、任務場所や請け負った班名と名前が記されています。」
私が任務報告書の控えをその子に突き出すと、引ったくる様にそれを取り、目を通し始めた。
そこには、兄ちゃんの班名と担当上忍の名前が記されており、現地に行った班員の名前がしっかり記載されている。
「私の証言だけでなく、第三者の証明があり、同じ班員の証言だってある。」
実は報告書を元に、兄ちゃんには内緒で担当上忍に話を聞きに行っていた。
影分身の類じゃなく、本人が依頼を受けている事の確認も取れている。