第7章 あっという間に卒業です
「私に何の恨みがあるのかは知りませんが、言いがかりはやめてください。何の根拠があって兄を馬鹿にするんですか?」
私は静かに、努めて冷静に返した。
こういうのは頭に血が上った方が負ける気がする。
「自分の兄貴が万華鏡写輪眼を開眼してるって隠してたじゃないか。都合の悪い事を隠していたのがいい証拠だろ?」
その子はにやにやと笑いながら宣った。
ほんとに心底嫌な顔。
「確かに黙ってはいましたが、年端のいかない10歳の下忍である事は言っていましたよ。それに兄にはアリバイがありますから。名前を出すまでもなく犯人にはなり得ません。」
「何でそう言い切れるんだよ。」
「私と一緒に九尾出現を見ているからです。夕方、空が夕焼けから夜空に変わる頃、私は任務帰りの兄と街から程近い所で帰りが一緒になりましたから。」
ざわざわと騒めきが広がった。
九尾が出る瞬間を見たのか、という驚きと、そんな瞬間を本当に見たのか、という懐疑的な声が耳に届く。
「へぇ…。そんな瞬間に遭っていたってのに、よく怪我しなかったな。」
その子から蔑みの色が宿る瞳を向けられた。
私は侮蔑を込めてその子を正視する。
「腐っても忍の卵ですから。危ない場所から逃げ果せるくらいは出来ますよ。馬鹿にしないでくれます?」
私がそう言うと、無表情なその子は目に憎しみを宿して私を見据える。
「忍の卵、ねぇ…。なら下忍とはいえ、お前の兄貴はうちはのひよっこ。万華鏡写輪眼が使えるなら九尾だってどうとでも出来るんじゃないか?」
…何がしたいんだろ、この子。
いや、こいつ多分子供じゃないな。
大人が子供に化けてるんだ、きっと。