第7章 あっという間に卒業です
呼びかけを始めて早一年。
あの日、ダンゾウに会ってからは半年が経つ。
最近は立ち止まって話を聞いてくれる人も多数いる。
始めたばかりの頃は、懐疑的な声が多かったのが、今じゃ少数派になりつつある。
里外の脅威にも目を向けるべきだよね、なんて意見だって多く上がっている。
写輪眼に対する漠然とした恐怖にも似た畏怖や偏見が無くなってきているせいか、うちはへの差別的な目は薄らいだ気もする。
「エニシ、行くぞ。」
「待って、今行く。」
近頃は、主役の私が急かされて校門へ向かう事もしばしば。
ほんと、やってみなけりゃ分からないよね。
トウキをはじめ、クラスの中でも変化はある。
うちはとそうでない人との垣根の様な線引きがなくなりつつある気がする。
こうなると、よく分かる。
私の周りにも偏見みたいなものってあったんだなぁって実感。
今じゃ私もかなりクラスに打ち解けたよなぁ、なんて。
そんなわけで、私達はいつもの様に放課後校門で呼びかけをやっていた。
すると、
「万華鏡写輪眼を持ってるもう一人って、お前の兄貴なんだってな!」
声が上がり、そちらを向くと、見ず知らずの男の子だった。
「お前、兄貴が犯人だって思われたくなくてこんな事はじめたんじゃないか?」
その子は、勝ち誇った得意気な顔で私を見る。
いつか、こういう人が出てくるだろうとは思ってた。
けど、まさか同じ子供を使ってくるとは思わなかったよ。
どこまで汚いんだろう、あの人は。
あ、勿論あの人とはダンゾウの事だ。
それしか思い当たらない。