第7章 あっという間に卒業です
まぁ、そうなるよね。分かるけど、
「本当の事じゃん。」
開き直るしかないよね。私、悪くないし。
「だからこそ、真正面からぶつかるお前は馬鹿だって言ってるんだ。」
兄ちゃんの言葉がちょっとぐさっときた。
真正面からぶつかってそれで何とか出来る様な奴ではないのは分かる。
この世界で、それがどれだけ馬鹿を見る行為なのかも分かってるつもりだ。
「けど…、正攻法で始めた事なら、正攻法で闘いたい。」
「だから…」
「この世界は騙し合いが全てだって事も分かってる。如何に相手を騙せるかが勝敗の分かれ目なんでしょ?」
「分かってるじゃないか。」
カカシ先生だってそう言ってた。
「でも私は正攻法の世界だって知ってる。訴える事、言葉にして声を上げる事の大切さだって知ってる。」
前世がそういう世界だった。
デモをして事実や現状を発信する事で、周りに考えてもらう機会を作っていた。
少なくても、前世の私はそういう風に見て聞いて感じていた。
「言わなきゃ伝わらない。伝わらなきゃ変わらない。」
そう言うと、兄ちゃんは瞠目して言葉を詰まらせた。
「だから、私は一人になっても声を上げ続ける。」
兄ちゃんが難しい顔して目を閉じる。その顔は悲しそうにも見えた。
ごめん、兄ちゃん。
でも、私はここで終わらせたくない。
まだ一族を諦めたくないの。
私が兄ちゃんを見上げると、ゆっくりと目を開いた。
「…分かった。でも、身の危険を感じたら絶対言えよ。」
「うん、絶対言うよ。」
私は真っ直ぐ兄ちゃんの目を見て約束した。