第7章 あっという間に卒業です
「…はぁぁぁぁ…。」
今度は兄ちゃんがため息をつく番だった。
「お前は…、なんて奴に目を付けられたんだ。」
「やっぱ目を付けられたと思う?」
ダンゾウが来たって事は、やっぱりそういう事なんだろうか。
「それしか考えられないだろ。」
兄ちゃんは頭が痛いとばかりに額を押さえた。
「お前、もう呼びかけなんてやめ…」
「やめない。それは続行する。」
私は兄ちゃんの言葉を遮った。
やめろ、って言われるとは思ってた。
「状況を分かってるのか?」
案の定、兄ちゃんは眉を顰める。
「分かってるよ。でも止めない。だって今止めたら元に戻っちゃうじゃん。折角みんな聞いてくれる様になったのに。」
「そんな事どうだって…」
「良くないよ。ぜんぜん良くないから。気に入らない事があっても言わないなんて選択肢を取るから鬱憤が溜まるんだって。溜めて爆発させるくらいだったら吐き出しちゃえばいいんだよ。」
「エニシ…。」
嗜める様に私を呼んだ兄ちゃんの顔は苦い顔だ。
でも譲れない。
納得出来ないもん。
「間違った事言ってないと思う。それに、ダンゾウのやってる事って臭いものには蓋をしてやろうって事でしょ?」
私の問いに兄ちゃんは答えなかった。
「呼びかけやったくらいで目を付けてそれでどうしようって?何も出来ないよ。嫌がらせはあるだろうけど。
仮に、殺そうとするなら、それこそあいつが間違ってるんだよ。ここはあいつの箱庭じゃない。そうなったら糾弾の的じゃん。あいつの面の皮ひん剥くチャンスだよ。」
「…お前、命懸けでやるつもりか?」
私の言い様に兄ちゃんは声を低くする。
「脅しには屈しないだけ。明日からの呼びかけで今日の事を話せば、あいつは私に手を出せない。接触があった事が周知の事実となれば、私に何かあった時、真っ先にあいつとあいつが管轄する組織が疑われる。」
「ほんっっとに馬鹿だな、お前。怖いもの知らずも大概にしろよ。」
遂に怒り出してしまった。