第7章 あっという間に卒業です
家への帰り道、とぼとぼとトウキと並んで歩く。
「折角聞いてくれる人が増えてきたんだけどな…。そう簡単にはいかないな。」
思わず呟いてしまった。
最近、いい調子できたと思ったのに、冷や水をかけられた様な気分だ。
トウキはそんな私をちらりと見て、また前を向く。
「逆の考え方だって出来るだろ。」
トウキの言葉に、私は目を瞬かせた。
「逆の考え方?」
どういうこと?
「上手くいってたから足を引っ張られた。誰も耳を貸さない事なら態々あいつが砂をかけに来なくたって誰かがやってる。
いつかの上級生達みたいにさ。」
だろ?と言ってにっと笑うトウキに、私は目を見開いた。
そっか。
上手くいってる証と思えば、あいつのやっかみもそう悪い事には思わないかも。
「成程ね、逆の考え方か。」
私は少し気持ちが軽くなった。
まだ、呼びかけがやるだけ無駄だという答えは出たわけではない。
「俺は強ち間違いじゃないと思う。」
そう言って、トウキはビラを広げて目を落とす。
「お前が調べて得たこの説だってあり得る話だと思う。その可能性だって、里は視野に入れるべきだ。」
「トウキ…。」
支持してもらえるって心強い。
身内からの支持も嬉しいけど、里の人からこうして認めてもらえるって何か何倍も嬉しいものだと思った。
「ありがと。トウキっていい人だったんだね。」
私は満面の笑みでトウキを見ると、彼は照れた様にそっぽを向いた。
「けっ。今更かよ。」
そこは素直にありがとう、とか言えば大人だなぁって思うのに。
彼の横顔は、頬と耳がほんのり赤くなっていた。