第7章 あっという間に卒業です
今日は、街の少し外れた所に構えて呼びかけを行った。
卒業式でどうせやる事もないし、みんなで集まってこれやろうって話になったのだ。
…他人事だけど、みんな修行ってしてないのかな。
私は助かるからいいんだけど。
「九尾事件をもう一度考え直してください!一度だけでも話を聞いてください!」
私が呼びかけをしていると、ふっと影が差した。
何だろうと思って見上げると…、
「随分と無駄な事を。」
志村ダンゾウが剣呑な目で私を見下ろしていた。
なんで、この人が…。
私は奴からの圧に、一瞬で恐怖に支配される。
それを見たダンゾウは、嘲笑の笑みを浮かべた。
「お前の様な小者が何をやったところで何も変わりはしない。無駄な足掻きはよせ。九尾はうちはにしか扱えぬ。うちは以外にはあり得ないのだ。」
その決め付けた物言いに私は、恐怖の中にも怒りを感じた。
「うちははうちはでも、木の葉にいるうちはではないと思います。そんな不届き者は木の葉にはいません。」
ダンゾウは蔑んだ目を私に向ける。
「世間知らずという言葉がお前にはよく合っているな。そういう事は、世の情勢を正確に把握した上でなければただの絵空事だ。」
確かに私は木の葉の情勢を隅から隅まで知らない。
前世で見た事はあくまでも予想論だ。
私は黙ってダンゾウを見返すと、哀れな者を見る様な顔付きに変わった。
「お前の様な者が木の葉の平和を乱すのだ。悪戯に不安の芽を撒き散らす様な真似はよせ。そんな事をする暇があるのなら、さっさと身内に罪を告白するよう促したらどうだ?」
クソむかつく。
下手な事は言えないから、どうしても奴の言葉の方が正論の様に聞こえてしまう。
その正論の下でどんなに汚い事してたって、見えなければ糾弾する事も出来ない。
「…世間知らずだろうが何だろうが、私は身内にはいないと信じていますし、自分なりに調べた結果、里外の者の犯行としか考えられません。考えられない以上、自分のやっていることが平和を乱すものとも思えません。」
私の言葉にダンゾウは眉を顰めた。
「小癪なガキめ。」
「お褒めいただきありがとうございます。」
嫌味に嫌味で返してやった。
ダンゾウは嫌なものを見るような顔で私を見だ後、そのまま体の向きを変え、去って行った。