第6章 偉人のまねをしてみましょう
「勘だね。いくらうちはの中の情報ったって里の上層部が知らないとは思えないし。
で。もし槍玉に上げられた時に、反論する時の証拠にする為に、兄ちゃんの行動記録が必要だったってわけ。
身内の証言でもいいけど、公的文書の方がより信憑性は上がるから。」
「お前も色々考える様になったな。」
兄ちゃんは笑う。
「どうせやるなら足固めはかっちりしておきたいしね。」
私もにやりと笑う。
私達のやり取りを見つつ、イタチも考え始めた。
「ふむ…。父さんの場合もそうだろうな。一族に対する思いが強いことを鑑みると、一族にも被害が出るだろう街中に九尾を口寄せするのは矛盾を感じる。
仮に街中に口寄せしたとして、何故あの時期だったのか。何故徹底的に木の葉を潰さないのか、疑問が残る。
もし、九尾事件が失敗に終わっていたのだとしても、九尾の次の人柱力は赤子だ。そのまま手を出さずに放置しているのはよく分からないな。
そう言った意味でも、犯人が父さんである可能性は低いと見る。」
「ね?そうなると外部の犯行しか可能性がなくない?」
すかさず私が言い募る。
「まだ分からないがな。」
だが、そこはイタチ。
うん、とは言わなかった。
「そうだね。まだ分からない。分からないけど、私は黒に近いと思う。」
私がそう言うと、イタチはそのまま考え込んだ。
「…まぁ、心に留めておこう。」