第6章 偉人のまねをしてみましょう
イタチは帰り道、エニシの言葉を反芻していた。
『可能性は十分にあると思うよ。』
『もし、糾弾されたとしたなら、十中八九暗部が兄ちゃんを槍玉に上げると思う。』
『勘だね。いくらうちはの中の情報ったって里の上層部が知らないとは思えないし。』
エニシは確信がある様に話していた。
勘だと言っていたが、その割にはエニシの中で既にそうであると確定づけられている様に感じたのだ。
何故言い切れる?
“以上の事から、うちはの写輪眼が使われた事は確かではありますが、それが木の葉にいるうちは一族の写輪眼であるとは考え辛い事であると言えます。
私は、うちは一族の中で死んだと思われていた者が、実は生きていて、その人が九尾事件を引き起こしたと想定します。
よって、木の葉にいるうちは一族は関わりがなく、寧ろ被害者である事を強く主張いたします。”
ビラに書かれていた最後の文章。
エニシは本当に、これを本気で信じているのか。
「…お前には何が見えている?」
イタチは月のない星空を見上げて、そっと呟いた。