第6章 偉人のまねをしてみましょう
「そう。動機。うちはも多数暮らしてた顔岩寄りのど真ん中に九尾は突然現れた。多くの証言も取れてるし、私と兄ちゃんだって見てた。」
「動機、ってそんなもの必要か?」
「推理するには必要だと思う。何の為に何の目的で犯行に及んだのか。そうすれば真っ向から否定もできるし肯定もできる。説得力があるから。」
「そんなもの、どうとでも取ってつければ事は済むと思うが…。」
イタチは首を傾げて不可思議そうな顔をする。
まぁ、そういう考え方もある。あるんだけどさ…。
「…私はそうは思わない。だって嘘はいつかバレるから。真実は真実のまま残るけど、嘘は瓦解する。で、信用も無くす。
だから動機って考える事は必要だと思う。真実に近づく足掛かりになるから。」
そう言ったら、二人はびっくりした様な顔で固まった。
え?何か変なこと言った?
「…お前、時々感慨深い事言うな。」
兄ちゃんが苦笑しながら言った。
「時々言うな。いつも深いい事言ってるわ。」
失礼しちゃう。
いつもは馬鹿って言いたいのか。
すると、イタチがふっと笑う。
「俺も今のは深く響いたな。」
「だな。」
兄ちゃんも少し笑った。
ははっ。ちょっと嬉しいかも。
「いや〜。それほどでも〜。」
私が戯けて自分の後ろ頭を撫でると、兄ちゃんがため息をつく。
「そう言う事やるから”時々”って付くんだよ。」
「なんでよ。今のは褒められたんでしょ?」
な〜んか納得いかないわ〜。