第6章 偉人のまねをしてみましょう
「うちはうちはって…!馬鹿にするのもいい加減にしてくださいよ!!あんたがうちはの何を知ってんだよ!!」
怒鳴った瞬間、目の前のそいつが、ひっ、と悲鳴を上げた。
今更びびったって遅いわ!!
「そんなにうちはが犯人だ犯人だって言うなら証明しろよ!調べ尽くして証拠持ってこい!!」
私が詰め寄ると、いきなりそいつが脱兎の如く逃げ出した。
こ〜の〜!!
「逃げるなぁぁぁあ!!」
私は校庭の砂を掴んで思いっきり投げつけた。
ふざけんな!!
「言いたい放題言って逃げてんじゃねぇぇぇえ!!戻って来い、こらぁぁぁぁあ!!」
私は逃げるそいつを捕まえようと追いかけ始めた。
が、
「お、おい!落ち着け!」
声と共にがっちり後ろから両肩を取られて固められて動けなくなった。
声からして多分トウキだ。
でも、構わずそのまま大声を上げる。
「何様だてめぇは!!殿様かこのヤロー!!戻って来てもっぺんおんなじ事言ってみろぉぉお!!」
腹立つ腹立つ腹立つ腹立つ!!!
逃げるくらいなら始めっから好き勝手言ってんじゃねぇよ!!
「だからエニシ!落ち着けって!お前、写輪眼になってるぞ!」
………え?
聞こえた言葉に、はたっと我に返った。
写輪眼になってる?
って誰が?
「……私が?」
「ここにうちははお前しかいないだろ。」
トウキの呆れた声が返ってきて、ゆっくりと腕が離された。
うっそだぁ……。
私はゆっくりとトウキ達の方を振り返った。
「誰か鏡持ってない?」
「あ、戻った。」
トウキが言うと共に、頭に昇っていた血が下がる様な、波がすぅっと引いていく様な感覚に包まれる。
うっわぁ〜…。
めちゃくちゃ頭がくらくらする…。
視界に星が飛び交ったかと思ったら徐々に真っ暗になっていく。
「え!?うわ!?エニシ!!」
トウキ達の叫び声を最後に意識が途切れた。