第6章 偉人のまねをしてみましょう
呼びかけを始めて一ヶ月が過ぎた。
「どうか、聞いてください!」
日に日に立ち止まる人が増えていく。
アカデミーで私達がやっている事を知らない人がいない位には有名になってきた。
トウキ達が手伝ってくれはじめた頃から、垣根がなくなったかの様に、耳を傾けてくれる人が増え始めたのだ。
そんな時、
「お前か、うちはエニシってのは!」
これをやれば、もしかしたら絡まれる事もあるだろうな、とは思っていた。
思っていたが、本当に来るかどうかは正直半々だった。
「何が”九尾事件には関わってません”だ!お前らうちは一族以外に犯人は有り得ないんだよ!」
イタチに絡んでいた上級生だった。
…写輪眼見ただけで尻尾巻いて逃げたくせによく粋がれるよな。
今度は私に喧嘩ふっかけて来たんだから、私が言い返す番だ。
「お、おい…!」
私が一歩前に出ると、トウキが焦った声で呼び止めた。
「いいから。」
私は目でトウキを制して、上級生達に向き直る。
「何故、そう言い切れるのでしょうか?また、その根拠は何でしょう?」
「根拠も何も無いんだよ。うちは一族だけが九尾を操れる。それが事実だ。だったら、あの事件はうちは一族以外に有り得ない!」
「なら、方法は何ですか?写輪眼ですか?写輪眼を開眼するだけで九尾が操れるとでも思ってるんですか?」
「それしかないだろ!」
怒鳴られても怯むつもりはない。
っていうか、どこのチンピラだよ。怒鳴りつけて他者を押さえつけようなんて小者過ぎる。