第6章 偉人のまねをしてみましょう
「何だ、なんか訳の分かんない事始めたぞ!」
「落ちこぼれのくせに!」
声の方をちらりと見るとトウキとその仲間達だった。
「何だこれ?写輪眼の絵か?こわ〜!」
「目だけ描くなんて気持ちわりぃ!」
ゲラゲラゲラと嫌な笑いが辺りに響く。
私は全部無視して演説を続けた。
こいつらはどうせ聞きやしないのだ。
だったら、構うだけ時間の無駄というもの。
「どうか、うちはの現状を知ってください!お願いします!」
私の呼びかけを取り巻き達が指さして笑う中、意外や意外、トウキは黙って私の言葉を聞き、黙ってビラを手にして目を通す。
「トウキ…?」
さすがに異様に映ったのか、仲間の一人が心配そうにトウキに声をかける。
だが、彼は黙ってその場を立ち去ってしまう。
「ちょっ…!待てって!トウキ!」
取り巻きの一人が慌てて彼の後を追い、釣られた様に取り巻きが一人残らず立ち去った。
私とイズミちゃんは黙って顔を見合わせる。
「…何だったんでしょう?」
「さぁ…。」
私は首を傾げながらトウキ達が去って行った方向を見遣る。
訳分かんないんだけど。
結局、何しに来たんだろう?あいつら。
「…まぁ、いなくなってくれて良かったよ。イズミちゃんは平気?これからあんな事しょっちゅうあるかもよ?」
私が問うと、イズミちゃんは真っ直ぐ私を見返した。
「大丈夫です。私でもこういう事なら出来るから。だからやりたいです。」
…意外に根性ある子だな。
同じ一族にこういうド根性精神の子がいた事が嬉しくなる。
だって、ド根性と言えばナルトを思い出すじゃん?
だからこういう子って好きだなぁ、私。
「じゃあ、がんばろっか。」
私は笑って言った。