第6章 偉人のまねをしてみましょう
「死んだと思っていた人が、里を襲いに来た。あなたの従兄弟でも再従兄弟でも、何でもいい。同じ一族のその人の責任をあなたは負えますか?」
私がそう言うと、その人は黙ってしまう。
「私はそこまで責任を負えません。死んだと思っていれば、きっと探せないだろうし、その人が悪巧みをしても気付けないし止められない。そう思いませんか?」
私の言葉に、聞いていた人達は皆顔を見合わせた。
「けれど、今里から求められている事はそういう事だと思います。負えない責任を取らされている。責められている。」
そう言うと、手前の人がムッとした。
「そんなの詭弁だろ。」
「詭弁でしょうか。では、木の葉にいるうちは一族である証拠は何でしょう?写輪眼を持っているという一択ではないですか?」
「それは…。」
「それは今話した様に写輪眼にも種類があり、九尾事件を起こせる程の実力を持つ者は皆無に等しい。つまり、限りなく可能性が低いという事に繋がります。
うちはに罪を問うのであれば、私は無罪を主張します。」
「じゃあ、全く関係ないって言うのかよ。里にいないから知りませんってか?」
弁論で負けたせいなのか、私の言葉に納得がいかないのか、その人は熱り立つ。
「私も、全く関係ないとは言いません。私達一族から、その様な不成者が出た事は悔しいし悲しいです。
ですが、今里全体から批難を受けるこの状況には納得できません。
うちはを批難するならば、九尾事件の再調査をしてください。木の葉にいるうちはではない事を調べてください。
調べもせずはっきりしないまま、うちはを批難するのは違うと思います。
どうか、今一度考え直してみてください!」
私が言い終わっても、場の空気は白けていた。
不審の目が向けられたり、ビラと私を見比べたりと、あまりいい結果は見られない。
「…行こうぜ。」
「だな。」
手前にいた人達は連れ立って去ってしまう。
それに釣られた様に数人が去って行き、人集りが少し崩れた。
やっぱり、そう簡単には声は届かないか。
でも、諦めてなるものか!
「今日は皆さんに聞いてもらいたい事があります!!」
私はまた、最初からやり直した。