第6章 偉人のまねをしてみましょう
てくてくと二人して無言で歩く。
「…アカデミーで呼びかけをするんだってな。」
聞いてたのね。
私は少し困りながらも笑った。
「ごめん、この前の事言っちゃって。実は私もあの場にいたんだ。」
「いいさ。問題ない。」
イタチは少し笑った。
また、無言が流れる。
なんとなく気まずくて、ちらっとイタチを盗み見ると、ぱちっと目が合った。
次いで、さっと顔ごと逸らされた。
…何だろう。ちょっと傷つくんだけど。
私が無言で怒りを表すと、それに気づいたイタチが気まず気に私の方を横目で見遣った。
「…いや。…その、な。……。」
イタチにしては珍しく口籠もった。
何だろう、と考えて、はたっと気が付いた。
もしかして、フガクさんの名前出す事気にしてる?
ただでさえ、あの上級生に目をつけられてるっぽいし。
私が今からやろうとしてる事はかなり目立つ。
そんな中、フガクさんの名前出したら、下手すればイタチにとばっちりが行くかもしれない。
…あちゃ〜…。そこまで考えてなかった…。
「あの…、ごめんね。もしかしなくてもフガクさんの名前出すの嫌だったりする?よね…。」
やっぱり万華鏡写輪眼のことは伏せた方がいい?
でも、そうすると説得力にかけるというか…。
でもでも、嫌がる人がいる以上、無理を通すべきでもないと思うし…。
「そういうことじゃ、ない…。」
そう言った時、丁度神社近くの公園の前に来た。
私達は同時に立ち止まり、惹かれ合う様に互いの顔を見合わせた。
「…ちょっと、寄って行かないか?」
「うん…、いいよ。」
これまた、断る理由もないので承諾。
…というより、イタチのいつにないはっきりしない様子が気になるのが本音だ。
私達は真っ直ぐに設置されているベンチへと歩いて行った。