第6章 偉人のまねをしてみましょう
フガクさんの家から出ると、私は外の塀の所にもたれ掛かる様に座り込んだ。
最初から最後まで緊張しっぱなしだった。
バイトの面接でもこんなに緊張しない。
「こわかったあ〜…。」
震える体を丸めて、ついでに両手で顔も覆う。
完全に不審者だろうと思いつつも、気が緩んだ腰は簡単には上がりそうもない。
「…おい。こんな所で座り込んでたら怪しまれるぞ。」
頭上から声がして顔を上げると、
「…イタチ。」
イタチが微苦笑を浮かべて私を見下ろしていた。
手を差し伸べられて、少し戸惑いつつもその手をそっと取ると、力強くぎゅっと握られた。
どきりとする間もなく、ぐっと簡単に引き上げられた。
…結構体重かかってたのにな。
私が内心複雑に思っていると、
「送って行こう。」
と、イタチに言われた。
「…じゃあ、お願いします。」
断る理由もなかったので、素直にお願いした。