第6章 偉人のまねをしてみましょう
「変わらないかもしれません。けど変わるかもしれません。
だって相手は同じ子供なんですから。」
私が真っ直ぐフガクさんを見ると、フガクさんは目を瞠った。
「大人同士だと、しがらみや立場があって動けない事も認められない事もあるのかもしれません。
けど、子供なら?
子供なら事実や意見を簡単に吸収すると思うんです。子供の意識が変われば、大人も少しずつ変わるかもしれない。大人が変われば里が変わるかもしれない。
私はそれを期待して呼びかけをしたいんです。」
私のこの言葉に熱り立っていた二人も言葉を詰まらせた。
「呼びかけでは万華鏡写輪眼の事も触れます。その時にフガクさんの名前をお借りしたいのですが…、よろしいでしょうか?」
私は不安を押しつぶして、殊更真っ直ぐフガクさんを見た。
フガクさんは暫く私を見つつ逡巡して、小さく息を吐いた。
「いいだろう。」
「フガクさん!」
「隊長!」
ヤシロさんとイナビさんが咎める様にフガクさんに言い募るが、フガクさんは手で制して首を横に振った。
「ありがとうございます。」
よっしゃ!
許可取れた!!
私は内心の小躍りを隠して、落ち着き払って頭を下げた。