第1章 キス/尾形・現パロ※
ローテーブルの上を適当に片付けて
彼を寝室へと誘導する
彼はベッドに腰掛けた
『じゃ、私はソファで寝るんで』
そう言い踵を返そうとした
「おい待てよ…」
しっかりと手首を掴まれていて
振り返るとじっとこちらを見つめる彼
『はいはい、おやすみなさい』
そう言って子供をあやす様に
空いてる手で頭をぽんぽんと撫でると
グイッと体を引っ張られ
彼目掛けてダイブしてしまった
『ちょっと、何するんですか』
「何もしねぇよ」
慌てて彼の上から退こうとすると
くるりと視点が反転して
私の上に彼が乗る
『何もしないって…』
「ああ…何もしねぇよ
セックスもキスも」
そう言い私の上から退くと
横にごろりと寝転がり
掛け布団を被って
私の頭を包み込む様にして
抱き締めてきた
「ソファなんかで寝て
風邪でも引かれたら面倒だ」
本当に何もする気がない様だ
彼の腕の中は心地良くて
胸板に擦り寄り目を閉じた
人の体温は暖かい
当たり前の事を考えていると
規則正しい寝息が聞こえてきた
なんだ、彼は眠かっただけなのか
私も今日は飲み過ぎたし疲れた
彼の暖かさを感じていると
すぐに眠気が襲ってきて
しばらくすると私は眠りについていた
***
正直彼女をこのまま襲いたいと
俺は思っていた
あわよくばと思い
ソファの上で
あざとく甘い雰囲気を出したが
彼女は拒否を示した
もっと触りたい
キスがしたい、セックスがしたい
こんな衝動に駆られるのは
初めてだった
彼女の何が俺をこんなにも
突き動かすのか分からない
彼女と交わればそれが分かる気がする
だが彼女は誠実で純粋で
俺とベッドで寝ようとすらしなくて
半ば強引に言い聞かせ
逃がすまいと腕の中で閉じ込めた
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