第1章 キス/尾形・現パロ※
あれから2時間くらいは
飲んでいただろうか
結構なハイスピードで飲んでいて
酔いも相当回っていた
こんなに飲んだのは
彼と初めて会った時以来かな…
楽しいとつい、酒が進む
まあ明日は休みだから
良いんだけど
「そろそろ帰るか?」
『うん、一緒に帰ろ…
あ、お会計お願いします』
と彼に伝えれば
「いい、俺の奢りだ」
なんてかっこいい事言ってくる
『私結構飲んだよ?』
彼は黙って頭をぽんぽんしてきて
微笑むだけだった
『じゃあ今度何か奢らせてね』
そう言えば、彼はコクリと頷いた
その後は彼が片付けをするのを待ち
一緒にBARを出て
近所のコンビニでお酒とおつまみを買い
私の家まで帰って来た
あの日と一緒で
交代でシャワーを済ませる
彼は、すっかりこの家に慣れていた
あの日貸したスウェットは
もう彼専用で、何ならこの家に
着替え用の下着なども置いてある
彼氏みたい…
だなんて思いながら
ソファの横に座る彼を
ぼんやり見つめた
彼は私の事、どう思っているのかな
ただの友達…では無いか
恋人でも無いし…
セックスはしてないからセフレでも無い
この関係は何だろう
私は彼の事をどう思ってる…?
そう自分に問うと
直ぐに浮かぶ「好き」の二文字
心臓が騒いだ
弟みたいで可愛いだなんて
思っていたけれど
それは紛れも無く
恋愛感情の「好き」だった
それを自覚する瞬間は
大体いつも突然だ
その後は「好き」が溢れてしょうがない
私は手に持っていた
レモン味の缶チューハイに
視線を落とした
まだ半分程入っているそれを
ぐびぐびと一気飲みした
「今日は随分ハイペースで飲むんだな」
『尾形くんと居ると楽しくて、つい』
と先程までの思考回路を
無理矢理断ち切ってお酒を煽る
ぼんやりとしてくる脳内
彼の肩に頭を預けながら
何缶目か分からない
缶チューハイを飲み干した後
「なぁ…今日の分のキスは?」
と、頭の上から
色っぽい甘えた声が聞こえた
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