第1章 俺の嫌いなモノ
幸希side
もう暗いからと遥が千尋を送っていくように俺に頼んだ。
確かにヒート期を迎えたΩが1人で夜道を歩くのは危ない。
一応俺の運命の相手ってやつみたいだし。
最低限のことはするつもりだ。
「今日はほんとにごめんね。」
「俺も悪かった。」
千尋の家までは全く街灯がなかった。
いつもこの道を歩いているのだろうか。
本人は平気そうに家まで向かっている。
「ここまでいいよ。僕の家もうすぐそこだから。」
「そう。気をつけてな。」
「うん。また明日学校でね。」
「あぁ。」
2人で別れを告げ、手を振る。
今日は凄く長い一日に感じた。
疲れているのだろうか、幻聴まで聞こえてきた。
「...い...き...」
「ん...?」
「おい、幸希!」
「わぁ!?!?」
幻聴じゃなくて本当だった。
しかもこの声!!
「叔父さん!!」
「やっと気づいたな。...さっきの子...恋人か?」
ニヤニヤしながら俺に尋ねてくる。
「ち、違う!!ただ運命の相手ってだけで付き合う気は無い。」
「ふーん...どうして?」
「うっ...//」
だって俺が好きな人は昔から変わらず、あんただ。
なんて言えない。
きっと引かれる。
αがαを好きだなんて。
叔父さんもいい迷惑だろ。
「別に何も無い//」
言えるわけない。