第1章 俺の嫌いなモノ
千尋side
目が覚めると知らない部屋にいた。
微かに残るαの匂い。
さっきの人のだ。
ヒートも少し治まってる。
「目、覚めたみたいだね。身体はどう?」
「え...あの...」
すごく綺麗な男性が目の前に座っていた。
一体誰なんだろう...
この人αじゃないな。
「あ、ごめんね。自己紹介してなかったね。僕は坂間遥。幸希の父親だよ。」
「幸希...?」
「...もしかして...あの子の名前知らない?」
さっきのαの人のことだろうか。
幸希くんって言うんだ。
「はい、さっき初めて会って...助けてくれたんです。」
「そう...急に『迎えに来て欲しい』って言うから慌てて迎えに言ったら君を抱き抱えてて...何事かと思ったよ...」
「ご迷惑おかけしてすみません...もしかして...薬まで...」
「うん、前僕が使ってたのが残ってたからね。今は使ってないんだ。」
この人...番相手いるんだ...
まぁ、そうだよね...
子供がいるなら普通のことだ。
「もう少し休んでいって。ご飯も食べて行っていいからね。」
「ありがとうございます...」
僕はまだ本調子じゃなく、少し眠ることにした。
もし幸希くんが来てくれなかったら...
僕は自分の下腹部を押さえ蹲る。
怖い...この体...