第1章 俺の嫌いなモノ
幸希side
俺はΩのフェロモンを少しでも浴びないように口を塞いで教室に向かった。
アイツ、俺と同じ色のバッジを付けていた。
恐らく同級生だろう。
...置いてきたけど...流石に誰も来ねぇよな...
さっきのやつ...遥に少し似てた...
考え事をしていると、図書室方面に向かう男子生徒数名とすれ違った。
まずい...あっちは...
いや、俺には関係ない。
Ωだから仕方ないだろ。
『もしかして僕達って...運命ってやつ...ですか...』
わかってた事だ。
そんなの一目見て察した。
だが、信じたくなかった。
だって俺の好きな人は...
俺は足の向きを変え、再び図書室に向かった。
近づくにつれ匂いは強くなる。
吐き気のする匂い。
俺の大嫌いな匂いだ。
『っ!〜〜っ!!?』
図書室から声が聞こえる。
開けたくない...
でも何故か放っておけなかった。
勢いよく扉を開けると、案の定やりたい放題されそうな所だった。
服は脱がされ、口も塞がれている、
あーあ、俺何するつもりで入ってきたんだよ...
「動くなってっ!」
「Ωなら大人しく股開けよ!」
「んっ!っっ!///」
俺は大きく深呼吸をする。
「...なぁ、お前ら...」
一斉に俺の存在に気づき、全員がギョッとする。
俺は歩みを進め、1人に顔を近づける。
「...図書室では静かにしてくんない?」
「え?」
腹を殴り気絶させる。
また遥に怒られる。
けど、俺は悪くないだろ。
それを見てビビったのか、全員がその場から逃げていった。
「ふぅ...じゃあ、俺行くから。」
「待っ...!//」
「っ!おい!」
そう言ってそいつは倒れ込んでしまった。