第1章 俺の嫌いなモノ
幸希side
学校に着くといつものように運動部の掛け声と挨拶を交える生徒の声が飛び交っている。
俺は先生に適当に挨拶を返し図書室に向かう。
教室は煩くて嫌いだ。
もうすぐ試験もあるし、勉強しろよ。
図書室の引き戸に手をかけ横にスライドさせ開くと、甘い匂いが充満していた。
「うっ...//」
これオメガのフェロモンっ...
なんでここにいんだよ!
「ひっ...//」
俺が入ってきたことに驚いたのか、小さな悲鳴を上げた奴がいた。
両足を抱えて縮こまってる。
周りには何冊かの本が散らばっている。
「や、ごめな...さ...//」
ヒート期か。
抑制剤を飲んでてよかった。
というか...こいつのフェロモン強すぎ...
「「っ!!!?」」
そいつと目が合った瞬間、全身にビリビリと電気が走るような感覚に囚われる。
「なんだ...これ...//」
「もしかして...あなたαですかっ...//」
「そうだけど...っ//」
嫌な考えが頭を過る。
いや、まさか...な?
このタイミングで?
「僕達...って...//」
俺はその続きを聞きたくなかった。
だが、あまりの衝撃に身体が動かない。
「...運命の相手ってやつですか...//」
俺はその言葉が出た瞬間、図書室から飛び出し教室へ向かった。