第3章 片想い
千尋side
「お、俺……もう行かないと……」
幸希くんはステージでの出し物。
確か劇をすると言っていた。
シンデレラの王子様役をクラスメイト全員から推されたらしく、本人は僕に文句を言っていた。
けど、その後はやるからには全力でやるって言って練習をしていた。
幸希くんの王子様役、絶対かっこいいだろうな……
シンデレラ役が羨ましい。
「幸希頑張ってこいよ!千尋くんと見に行くから。」
「幸希くん頑張ってね!」
そもそも同じクラスだったとしても僕がシンデレラ役なんてできない。
きっと可愛い女の子が選ばれる。
……キスシーン……あるのかな……
「どうした?不安?」
「あ、いえ!その……文化祭の出し物ですし……我儘は言えませんよ……」
幸希くんの叔父さん、拓真さんが顔を覗いて心配をしてくれる。
「今は俺しか聞いてないから嘘つかなくていいよ。」
「うっ……本当はすっっっごく嫌です!シンデレラ役は僕がよかった!でもそんなことできないし……見たくないけど幸希くんの王子様は見たいです……」
「はは!素直でよろしい!大丈夫だよ、幸希は。」
「……はい、知ってます。幸希くんは凄く素敵な人っていうのは出会って間もないですけど痛いほど感じてます。……行きましょ!早く行かないといい席取られちゃいます!」
「そうだね。ビデオも撮って遥に送らないとだしな。」
僕と拓真さんは急いで体育館へ向かった。