第1章 俺の嫌いなモノ
幸希side
この世界は「男と女」とはまた別に2つ目の性が存在する。
α、β、Ω。
つまり合計6つの性別に分かれることになる。
その中でも俺はαと最近診断された。
正直...嬉しくない...
「遥、おはよ。」
「幸希、おはよう。学校間に合う?」
「大丈夫。」
いつものように部屋からリビングに向かうと遥が朝食を準備していた。
目玉焼き、ヨーグルトにパン。
ジャムも何種類か並べられている。
「これ、お弁当ね。」
「ありがと。」
遥は俺の父親であり、Ωだ。
18で俺を産んだ。
そして、その番が遼。
と言っても最近、遥と番になったばっか。
15年間、遥は俺を1人で育てていた。
その間ずっと遥は遼を待ち続けていた。
必ず帰ってくると信じて。
正直、俺はまだ遼を本当の父親としては見れないが...
「遥、おはよ。」
「遼くん、おはよ!」
朝から息子の目の前で普通にキスをするとか...やめてくんないかな...
2人はいつもこうやって抱き合ってキスをしている。
イチャつきぶりもうちょっと考えろよな...
「幸希もおはよ。」
「はぁ...おはよ...相変わらずだね、あんたら。」
「っ!///」
遥が急に顔を赤らめて隠した。
今更すぎ。
「俺、もう行くから。」
「あ、うん。気をつけてね。抑制剤は?」
「飲んだよ。行ってきます。」
鞄を持って家を出る。
抑制剤を飲まないと、αである俺はΩのフェロモンに負けてしまう。
そんなことは絶対に嫌だ。
Ωとそんなことするとか...有り得ねぇし。