第2章 距離
千尋side
「はぁはぁ……うっ……//」
ヒート期が来てしまった。
予定より早いけど、始めは不安定だと聞いていたから心配はない。
ただ、また幸希くんとの距離が離れてしまうかもしれない。
抑制剤を飲み横になる。
今日は学校を休もう。
この状態で学校に行っても迷惑だし。
「はぁはぁ……こうきくん……//」
会いたい。
抱きしめられたい。
……めちゃくちゃに犯されたい……っ!
違う違う!ダメだよそんなこと!!
理性が吹き飛びそうになるのを必死に抑え込む。
ヒート期が辛く、食欲もない。
体が熱くてボーとする。
どれくらい眠っただろうか。
空は茜色に染まっている。
もう一日が終わりそうな時間なのか。
体は変わらず熱くて重い。
携帯を確認するけど幸希くんからの連絡は無い。
少し寂しいな。
チャイムが鳴り、ベッドから降りる。
母さんは仕事で外に出ている。
今家にいるのは僕1人。
荷物か何か届いたのだろうか。
フラフラと玄関へ向かう。
「はい……っ!//」
この匂い……この感覚……
もしかして……
扉を開けるとそこには僕の愛する人が立っていた。
「幸希くんっ……どうしてっ//」
「ヒート期か……なんとなく察していたけど……」
どうも無いのだろうか。
顔色が平気そうだ。
幸希くんが「これ」と言って僕に袋を渡した。
中には食料と薬。
もしかして買ってきてくれたのかな。
優しい……
「ありがとうっ……ごめ……幸希くんもう離れないと……//」
また迷惑をかけてしまう。
「抑制剤飲んでるから少しは平気だ。」
幸希くんは更に服を渡してきた。
この服……幸希くんの匂いが染み込んでいる……
いい匂い……興奮する。
「こんなものしかないけど……それあげる」
「……ありがとう……//」
嬉しい……
こんなの好きになるなと言われても無理だよ。
幸希くんは「じゃあ」と言って帰って行った。
僕は幸希くんから貰った服を握りしめ匂いを嗅ぐ。
安心する……