第2章 距離
千尋side
幸希くんは直ぐに眠りについてしまった。
部屋に僕1人。
普通友達の家にお邪魔したときは何をするんだろう。
ゲームとか?
共通の趣味があればすることいっぱいあるんだろうけど。
僕達はそんな趣味あるように感じないし。
そういえば、幸希くんの部屋って本がいっぱいだ。
好きなのかな。
1冊手に取ってみる。
難しそうな本ばっかりだ。
古いのもある。
幸希くんが本を読んでいる姿を想像して思わずニヤケてしまう。
僕も少し読んでみようかな。
簡単そうな本を手に取り1時間程読んでみることにした。
直ぐに飽きるかもと思っていたけど思った以上にストーリーが面白くて読み進めてしまった。
サスペンスが好きなのかな?
本を読んでいるとあっという間に1時間経ってしまった。
幸希くんを起こそうとベッドに近づく。
スヤスヤと寝息を立てて眠っている。
可愛い。
写真撮ってもいいかな……
誰も見てないし……?
一応仮の恋人だし……?
いいよね……
携帯を取り出して1枚だけ写真を撮った。
「ふふ。」
思わず笑みが零れる。
「幸希くん。そろそろ時間だよ。」
「ん……んー…」
また眠ってしまった。
今度は身体を揺すって起こしてみることに。
「幸希くん?起き……っ!」
幸希くんが急に起きて僕の腕を掴んだと思ったらいつの間にか僕が幸希くんの下になっていた。
何が起きたの?
なんで僕は幸希くんに押し倒されてるの?
「何やってんの……?触んな……」
「ご、ごめっ……いっ!!」
幸希くんの力が強すぎて腕が潰れそうだ。
「幸希くんを起こそうと思って…ほんとにごめんなさいっ」
「……起こす?……あ……」
思い出したのか幸希くんは直ぐに退いてくれた。
「ごめん。本当に。腕痛くないか?」
「うん、大丈夫だよ。僕もごめん。驚いたよね。」
先程の幸希くんの怒りに満ちた顔を思い出してゾッとした。
凄く怒ってた。
でも、押し倒されて少しドキッとした。
まだ鼓動が早い。
あのままキスとか……されたかったな……