第2章 距離
幸希side
「ただいまー。」
「お、お邪魔します!」
千尋と学校から家まで歩いて帰ってきた。
誰かと帰ったのはいつぶりだろうか。
千尋は意外とお喋りで道中暇すること無かった。
「おかえりー。あ、千尋くん!あの後大丈夫だった?!」
「はい!昨日はご迷惑お掛けしました。」
「僕は大丈夫だよ。……中々初めは発情期慣れないだろうけど、何かあったら僕も協力するからね。」
遥が楽しそうだ。
まるで自分の子供かのように千尋の頭を撫でている。
「遥、千尋もご飯一緒にいい?」
「え?うん……いいけど。遼くん今日遅くなるらしいから3人で食べてようか。」
「親父とかどうでもいいけど……」
千尋を連れてご飯の時間まで俺の部屋にいることにした。
落ち着かないのか、部屋に入ってからずっと突っ立ってソワソワしている。
普通にしてればいいのに……
「適当に座れよ。てか昨日普通に俺のベッドで寝てただろ…」
おかげで昨日は千尋の匂いが染み付いてゆっくり眠れなかった。
「う、うん。」
テーブルの前に正座になっていた。
もっと普通にできないのか?
俺まで気まずくなってきた。
「あ、そうだ。連絡先交換しとくか。」
「……うんっ!」
お互いのスマホを取り出し連絡先を交換する。
『佐藤千尋』
苗字、佐藤っていうのか。
アイコンは子犬だ。
ペットだろうか。
「ペット?」
「うん、僕が小さい頃から一緒なんだ。」
「へー、可愛いな。」
「へ!?……あ!うん!可愛いよね!」
なんで顔赤くなってんだ?
「俺、少し寝る。1時間したら起こして。」
「うん……」
ベッドに横になり、壁側を向く。
昨夜ゆっくり寝れなかったのか俺は直ぐに眠りについた。