第2章 距離
千尋side
「幸希くんがお昼誘ってくれるなんて思ってなかったから……びっくりした。」
「あぁ。だってお前お昼とか1人で居たらまた襲われるだろ。」
それが心配で誘ってくれたの……?
優しい……
「ありがとう。」
「……小さい頃、遥がそういう目に遭うの見たことあって。幾ら他人でも何故か思い出して助けてしまうみたいだ……それに見たくない。」
それって別に僕だからって訳ではないのか。
そうだよね。
付き合ってはないんだし。
きっと彼のトラウマでもあるんだろう。
「大変だったんだね……」
朝の幸希くんの父親が「元ヤクザ」だって話、聞いてもいいのかな。
昨日見た感じだと少し距離を感じた。
仲良くないのかな。
……詮索はやめておこう。
きっと幸希くんは嫌だろうし。
「今日ウチ来る?」
「え?」
「どうせ一緒に帰るだろ。1人じゃ危ないし。飯も食っていけよ。」
家に行くってことは……そういう……
いやいや!まだ早いし!
そもそも上辺だけの彼氏だし!
「遥にも話したがいいだろ。昨日色々あって心配してたし。」
「う、うん……」
そうだ、しっかり昨日の事お礼言わないと。
それに、挨拶ってことだよね。
緊張するなぁ。
遥さんいい人そうだったけど、遼さん顔怖かったなぁ。
実際は優しかったけど。
これからはお昼と放課後は2人で一緒に行動することになった。
その方が僕が安全だろうからと幸希くんは言ってくれた。
迷惑にならないように抑制剤しっかり飲もう。
嫌われたくないから。