第2章 距離
千尋side
実際に付き合ってはいないけど、幸希くんと特別な関係になった。
それも高校生の間だけ。
卒業すればこの関係も終わってしまうのだろうけど……
「……嬉しい……」
一目会った時から幸希くんに惹かれてしまった。
怖いって思った瞬間もあったけど、ふとした優しい部分に惹かれてしまう。
さっきもゆっくり歩いてくれたし、教室まで見送ってくれた。
それに、朝助けてくれた。
こんなにもドキドキするなんて。
僕はきっと幸希くんのことが好きなんだ。
出会ったばっかだけどもっとこれからいっぱい幸希くんのことが知りたい。
恋人の様に振る舞うって事は……お昼誘ってもいいのかな……
でもきっと周りの注目浴びるの嫌いだろうし……
はぁ……どうしよ……
『Ωが嫌いなんだ』
Ωが嫌い……か……
でも遥さんもΩなんだよね……
家族は別なのかな?
どうして嫌いなんだろう。
お昼休みになって、廊下が騒がしくなった。
いつもより女子の声が多いな。
「ねぇあの人1組のっ!αの人じゃない?!」
「ほんとだ!なんで5組に?」
ん?1組?α?
「失礼します。」
そう言って教室に入ってきたのは幸希くんだった。
あーかっこいい……
じゃなくて!!
どうして!?
「幸希くん!?な、なんで!//」
「いや、昼。一緒に食べようって思って来た。」
え!?いいの!?
まさかの幸希くんからの誘い?!
「ごめん、予定ある?」
「う、ううん!全然!行こ!//」
お弁当を持って人気が無さそうな場所へ移動した。
嬉しい……本当に……
僕は高まる鼓動に口角が緩む。
これが恋……なのか……
楽しい……