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【R18】運命なんて大嫌いだ

第2章 距離


幸希side

「ねぇ、幸希くん……少し……話してもいい……かな?」

「なに?」

千尋がモジモジしながら俺の横で話し始めた。
今は周りに誰もいない。
HRが始まったのだろうか、学校全体が静かだ。

「僕達、運命の相手な訳で……その……これから先、僕と幸希くんは……//」

顔を赤く染めながら千尋が話す。
会ってすぐに運命だと気づいて好きになったのだろうか。
それともそうすべきだと感じたのだろうか。
俺にはこいつに好意なんて全くない。
出会った時に一瞬胸は高まったが、今思えば本能的に千尋を運命の相手だと察知したからだとわかる。

「……なに?俺の事好きになったの?」

「えっいやっ……その……//」

「ごめんけど、そういうのは困る。お前と付き合う気もない。」

しっかりと伝えておかないと後で面倒になる。
その気にさせるのもコイツの為にはならない。

「え……そ、そうだよね!うん!ごめん!」

「第1に、俺Ωが嫌いなんだ。」

「え……どうして……」

どうしても何も……俺はαでΩの発情期に毎回惑わされる。
俺には好きな人もいる。
好きな人以外でそんな事はしたくない。
Ωの誰彼構わず尻尾を振る姿が1番嫌いだ。
発情すれば欲を満たすことしか考えなくなる。

「……お前には関係ないだろ。」

「うん……そう……だね。」

「高校生の間までは最低限お前の『運命の相手』として振る舞う。そうすればお前も襲われる事が減るだろ。じゃないと遥も煩く言ってきそうだしな。……遥にはお前とは『そういう関係』だって伝えておくし。」

千尋はその言葉を聞いて立ち止まってしまった。
振り向くと目を点にして俺を見つめていた。
そして一瞬にして嬉しそうな表情になった。
フラれたのにおかしな奴だ。

「うんっ!ありがとう!幸希くん!」

ちゃんと笑えるんだな、こいつも。
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