第2章 出会い
は?
今…何と…1905年??
嘘でしょ…嘘だと言ってくれ…
タイムリープってやつですか?
私は部屋の中を見回した
確かに…テレビも相手なけりゃエアコンも無い
火鉢だ…尾形さんが手をかざしてる、あの丸いのは
「1905年。日露戦争がようやく終わった。」
『……受け入れます。』
どう足掻こうか受け入れることしか方法はない
ここはどうやら明治時代
犯人に発砲して崖から滝壺に落ちた時に何か起きたんだろう
で、明治時代にぶっ飛んできたってわけか
しかも真冬の北海道
『尾形さんは、どうおもってるんです?』
どうやら敵でも無さそう
そう判断し私は尾形さんにたずねた
「未来から来た面白い女だと思ってる。使えそうだしな。」
ニヤリと尾形さんは笑った
使うって…何によ
不思議なことに私は現代に戻りたいとこれっぽっちも思わなかった
親がいる訳でもなく兄弟もいない
戻る方法があったとしても…
と、考えてしまっている私が居た
「帰りたいのか?」
『帰るとこなんて、ねーよ。』
「フッ。口の悪い女だな」
尾形さんは火鉢に手をかざしながらキュッとお猪口の酒を呑んだ
『明治…か。』
「あぁ、そうだ。は、何時代の人間だ?」
『令和。れ・い・わ』
「戦争は…」
『日本は戦争なんかしてないよ。日本はね。』
「…そうか。」
いつの時代になっても戦争ってのは無くならない
そこを尾形さんは何となく受け取ってくれた
「日露戦争が…日本の最後の戦争か?」
『……答えて良いのかな。』
「かまわん。誰かに話したところで信じてもらえるはずがねぇ」
私にホラってお酒を勧めてくれるが
『まだ、熱っぽいから』ってお断りした
『長い長い戦争が…ありますよ』
「…そうか。人は…死んだのか?」
『とてもたくさん。』
「…そうか。」
尾形さんはゴクリと唾を飲み天井を見つめた
「兵隊は死ぬ覚悟で戦っている。俺もそうだ。だから、死ぬのは必然的な結果だ」
『…一般人が死んだんです』
「!!!!」
『死ぬ必要がない人間が、沢山殺されたんです。』
「……そんな事が…」
『50万。関係の無い人が殺された。軍とか合わせると310万人。そんな戦争が…この先始まります』
「!!!!!!そんな人数、どうやって殺すんだ。いくら銃があっても足りないな」
『…原爆。』