第3章 道連れ
「さっきの騒ぎを聞きつけて、追手を向かわせるはずだ」
『でしょうね。宿には戻らない方がいいかな』
路地裏で2人は声をひそめて隠れていた
「いや…荷物をまとめて出る時間はあるだろうよ。の身分証は見られたらまずいだろうからな」
『ちゃんと持ち歩いてる。戻らなくて良い』
「なるほどな。さ、北へ向かう。」
『ん』
ガシガシと雪の上を進んでいく。
目的地がどこだかは知らない。
だけど、どうしてか…信用できるって思った。
「体調はどうだ?熱は?」
『大丈夫。あったかいおうどん食べれたし。すっかり元気』
「そりゃそうだな、あんだけ暴れたしね。いらん心配した」
頭を撫でながら尾形はフンっと半笑いする。
ムッっと頬を膨らませたを見て、またフンっと。
「女ってのは、そんなに体力があるのか?」
尾形は気になっていた。
自身は現役の軍人ってわけで、なかなかの体力がある。
そんな尾形に遅れることもなくズカズカと雪山を歩み進める。
『体力あって、悪いかよ。』
「怖いね〜。」
『鍛えてる、毎日。命懸けの仕事だし。』
「息切れひとつ起こさず、雪山を歩けるとは…なかなかだな。」
まぁね と、人差し指で鼻を擦りのけぞって見せると
「ガキかよ」
『んだと尾形ぁ。さっきは油断しておうどん食ってたくせに。私が教えなかったらアンタ撃たれてたよ?油断しすぎよ、上等兵どn…』
「お前こそ油断し過ぎだ、頭を低く。…どうやらつけられてたみたいだ。」
はとっさに手に持っていた松明を消した。
(明かりが消えたぞ‼️)
少し離れたところで聞こえた声。
「……。第七師団…か。」
『第七師団て、北鎮…もう、怖すぎるわ。あんな奴らに追われてる尾形…何者だよ』
「…俺も第七師団だ…目が慣れて来た。歩けるか?」
『見えてる。進もう…』
「今日はこれ以上進まないがいいだろう…ヒグマに襲われると溜まったもんじゃない。野宿いける?」
『野宿以外の選択肢が無い。』
少し歩くと、木の影になる開けた場所があった。
『焚き火も炊けない…寒いよ尾形…』
「仕方ないだろ」
『大体、お前のせいだわ…逃げ回らなきゃいかんの』
「それも込みで協力してくれんだろ?」
フンと、は外套を握りしめ丸まった。
あれ?