第10章 奇襲
自分の屋敷から出た宿儺は近くの村を襲った。
女も子どもも関係なく。
目に入る全ての者を殺した。
村を全滅させた宿儺は、そのまま加茂家へ向かった。
「なんて禍々しい呪力だ」
「当主さま不在時に なんて事だ…」
加茂家の呪術師は宿儺を祓おうとしたが、大量の呪霊を取り込み、最強となった宿儺は その場に居た加茂家全員を惨殺した。
加茂家から生気が消え、宿儺は理性を取り戻し、辺りを見渡した。
辺りに転がる死体と返り血を眺め、自分の4本の腕を見た。
そして自分の屋敷に戻った。
自分の屋敷につくと、そこには戦い疲れた あすか と、あすか の腕に抱かれ、眠っている悠が居た。
宿儺に気がついた あすか は『宿儺さま?』と聞いた。
宿「………………」
呪霊を取り込み、【人間】で無くなった自分の姿を あすか に見られ、その場から立ち去ろうとした時、あすか が『待って!』と言った。
『逃げないで、宿儺さま…。
こちらへ来て』
呪霊となった自分に そう言う あすか のもとへ行き、地面に腰を下ろすと、あすか は優しく笑った。
そして、あすか が抱く悠に眼をやる宿儺。
それに気づいた あすか は、悠を見ながら微笑んだ。
『悠、父さま が来てくれたよ』
あすか から溢れる涙が悠の頬に落ちる。
宿「悠…?」
血の気の無い我が子の名を呼ぶ宿儺。
柔らかい頬を大きな手で撫でるが冷たい。
静かに声を出さずに泣く あすか と、あすか の腕に抱かれる悠を4本の腕で ぎゅう、と抱きしめた。