第10章 奇襲
『……みんな一緒に……ね…』
小さくそう言い、あすか は宿儺のもとへ向かった。
途中、呪霊や呪術師が あすか に向け攻撃をしてきたが あすか は呪力で練った式とともに呪霊と呪術師を殺した。
【人間】を殺す事に躊躇が無くなった瞬間だった。
返り血を浴び、自分の血なのか呪術師のものなのかも分からなくなった頃。
もう少しで宿儺のもとへ駆けつける事ができる、そう思った あすか の目の前で宿儺は地面に膝をついた。
その一瞬を見逃さなかった呪霊たちが叫びながら宿儺に群がった。
「コイツの体はオレが貰う!」
「心の臓はオレが喰う」
「邪魔だ、退け!」
呪力が切れてしまった宿儺は、呪霊を祓う事ができず、あすか の目の前で呪霊たちに喰われた。
『ッ! 宿儺さまァ!!』
あすか は、呪霊が群がる宿儺のもとへ急ぎながら、宿儺を喰おうと寄って来る呪霊たちを祓い、宿儺のもとへつくと、宿儺の体から強力な負の感情とともに呪霊たちの呪力が交ざりあったような不気味な呪力が辺りを覆った。
そして、宿儺の体は呪霊と融合し、腕が4本、顔が2つ。 それはまるで鬼のようだった。
『宿儺、さま…?』
宿儺の名を呼ぶ あすか を見向きもせず、鋭い爪を妖しく光らせながら「ケヒ」と笑い、宿儺は屋敷を飛び出した。
『宿儺さま、何処へ行くの?!』
あすか は宿儺ではないかもしれないソレに呼び掛けたが、宿儺は振り向くことはなかった。