第17章 生得領域
宿「懐かしい、と言うより不思議な小僧だとは思っている。この俺の指を飲み込んでも死なない。それに俺を抑え込む事までできるのは不思議だ」
少し不満そうにそう言い、宿儺は近くにあった頭蓋骨に腰をおろし、自分の膝に あすか を座らせた。
『私ね、悠仁が悠の生まれ変わりならいいな、って思ってる。悠仁はどこか宿儺さまに似てるから』
宿「呪肉しているのだ、似るのは仕方ない。
それに、悠は あんな阿呆では無いと思うぞ」
宿儺の言葉を聞きながら、あすか はクスクス笑いながら これまでの事を宿儺に話して聞かせた。
(( ……………… ))
2人の様子を蒼は黙って見守った。
☆ ☆ ☆
「あすか 、そろそろ精神を体に戻すぞ」
蒼の声に あすか は はっとして頷いた。
『宿儺さま、たくさん話ができて楽しかった。またね』
あすか は宿儺に手を振ると足元の蒼と あすか が少しずつ霞んでいった。
地下室の自分の体に意識が戻った あすか は蒼にお礼を言った。
『蒼、ありがとう。本当に宿儺さまに会えた』
あすか の無邪気な笑顔を見て、蒼は宿儺、あすか がバラバラになってしまう前の事を思い出していた。
「お前が またそんな風に笑えるならお安いご用だ」
チロチロと舌を出す蒼の頭を あすか は優しく撫でた。