第2章 出逢い
巫女は一時的に止めた呪力を解こうとはしなかった。
宿「俺はアイツが どぅなろうと知った事ではない」
『…じゃあ どぅして止めるの?』
巫女は振り返って宿儺を見た。
宿「 "どうして" だと?
では聞こう、お前はなぜそんな悲しそうな表情(かお)をしてアイツを呪い殺そうとしているのだ?
不本意だから誰かに止めて欲しかったのではないか?」
巫女に自分を殺す殺意は無いと判断した宿儺は続けた。
宿「お前ほどの呪力があればアイツを殺す事くらい1回で出来たはず。
それをしなかったのは "人を殺すこと" にためらいがあるからだろう」
宿儺の言葉に巫女はうつむいた。
宿「誰かに頼まれたのか…
殺りたくないなら引き受けなければ良いものを」
宿儺が呆れたように吐き捨てると、巫女は屋敷の主の呪いを解き、話し始めた。
『私がココまで生きてこられたのは皆のおかげなの…。
皆が望む事であれば、その期待に応えないといけない』
宿「お前の生い立ちなど興味はない。
だが、もう1人で生きていくだけの力があるはずだ。いつまで人に頼るのだ。
その者達との鎖を解かない限り、お前は お前の意思など無いと同じだ」
それだけ言い、宿儺は屋敷へ戻った。