第10章 奇襲
『我と契約し土地神 蒼よ、我の前に姿を現せ…』
蒼をイメージし、額に呪力を集中させながら あすか は蒼を召還させた。
蒼はとぐろを巻き、身を縮めていた。
『どうしたの、蒼?!』
とっさに蒼に自分の呪力を流し込む あすか 。
驚く あすか とは反対に、裏梅は蒼の様子を横目で確認し、「やはり…」と呟いた。
「蒼さまは蛇の土地神です。神と言えど元は蛇。蛇は変温動物ですから気温が下がると動きが鈍くなります。
今は自分の呪力で体温を維持するのが やっとなのでしょう…」
『しっかりして、蒼…』
あすか の呪力を体内に入れながら、蒼は少しずつ とぐろを解き、顔を あすか の方へ向けた。
「すまぬ あすか ……」
チロチロと舌を出し、あすか の手を舐めた。
「少しずつ気温を下げられたせいで敵の感知が鈍くなっていた」
あすか は蒼の隣に悠を置き、2人を結界で囲い、蒼は外気温で動きが鈍らないようにした。
「相手の詳細は不明ですが、相手には こちらの情報は ある程度知られていると思った方が良さそうですね」
いつの間にか屋敷を取り囲むように大人数の呪術師が こちらを見ていた。
「宿儺さまに勝てないと分かっていて私たちを引き離したんですよ、こいつ等」
裏梅はイラついたように あすか に言った。
「腐ったゴミどもめ…
自分たちが優位な状況でしか戦えないクズの集まりだな…」
汚いものでも見るかのように裏梅は冷たい視線を向けた。
「貴様等ごとき、私だけで十分だ」