第10章 奇襲
その日も宿儺は依頼に出掛ける事になっていた。
宿「………今日の依頼は少し遠い町だ。
裏梅、あすか を頼む」
「はい」
裏梅にそう言い、宿儺は蒼を呼び出した。
宿「蒼、お前もだ。
なぜだか最近呪霊たちの動きが多くなっている。直接俺の事を狙っているわけでは無さそうだが、なぜだか違和感がある…。
俺が留守の間、あすか と悠を頼むぞ」
「大丈夫だ。気にし過ぎなのではないか?」
蒼は宿儺にそう言ったが、宿儺は「気のせいなら良いのだがな」と言葉を濁した。
宿儺が出掛けてから数時間後。
少しずつ気温が下がってきていた。
『なんか寒くなってきた?』
「⦅……いくら秋だといっても おかしい…⦆
悠さまに風邪をひかさぬよう、暖かくしてあげてくださいね」
裏梅は あすか に少し熱めの お茶を差し出し、空を見上げて雲の流れを確認した。
⦅…雲の流れは速いわけではない…何だ?⦆
あすか と悠が風邪をひかないように、囲炉裏の火を強くし、裏梅は「食材の確保に行ってきます」と あすか に告げ、山に入った。
⦅…屋敷周辺が寒いのか……
寒さのせいか猪も巣に籠っているな……⦆
ひと通り屋敷の周りを確認した裏梅は、なおも下がり続ける気温に首を傾げ、巣に籠り うとうと している山の動物たちの様子を見てある仮説を立てた。
そして急いで屋敷に戻ると、蒼に声をかけた。
「蒼さま、お話したい事があります。姿を表してくれませんか?」
裏梅は早口で蒼に問いかけた。