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過去⏩️今 ~記憶の物語~[呪術廻戦]

第10章 奇襲


自分の手を握る あすか の力に、宿儺は驚いたが それ以上の痛みに耐えながら子を生んでいる あすか に「頑張れ」と声をかけ続けた。

「もう少しだ あすか 、…いきめ!」

老婆の掛け声で、精一杯いきむ あすか の手を、宿儺は両手で ぎゅぅ、と握りしめた。

「生まれた」

老婆は安堵した声で そう言い、手早く赤子の鼻と口を布で拭き、背中を軽く叩いてやると大きな鳴き声が響いた。
赤子の鳴き声を聞き、あすか も宿儺も安堵した。

宿「あすか 、よくやった。ありがとう」

優しく あすか の頭を撫で、宿儺は そう言った。

「裏梅、湯の追加を準備しておけ」

裏梅に指示を出しながら、老婆は臍の緒と胎盤の処理をし、赤子に纏まりつく血液を湯で流した。

「あすか 、見てみろ 可愛い男の子だ」

小さな赤子を両手に抱き、老婆は あすか の胸に赤子を置いた。

あすか の胸で小さく呼吸する赤子を見て、あすか は『意外と重いのね』と笑い、赤子の頭を優しく撫でた。

『ねぇ宿儺さま、宿儺さまも抱いてあげて?』

赤子の抱き方を知らぬ宿儺に、老婆は ケヒヒヒ、と笑い宿儺に赤子を抱かせた。

「あすか が命をかけて生んだ子だ」

宿「…小さくて壊れてしまいそうだな」

自分の腕の中で目を瞑る赤子を宿儺は優しい表情で見た。

「あすか 、少し体を休めろ」

老婆にそう言われ、あすか は『はい』と頷いた。

何処にでもある ありふれた日常。
しかし、それを離れた場所から眺めている者が居た。
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