第10章 奇襲
あすか の定期検診で宿儺の屋敷を訪れた老婆は、裏梅が あすか と打ち解けている事に驚いた。
「ケヒヒヒ、あすか は本当に不思議な娘だねぇ」
宿「腹の子はどうだ?」
「問題ないだろう。ほれ見てみろ、よく動いておるわ」
宿儺の手を あすか の腹にのせ、老婆は優しく そう言った。
ぽこん、と あすか の腹を蹴る子に、宿儺は一瞬驚いた。
宿「あすか ! 動いたぞ!
痛くないのか?」
『大丈夫。少し変な感じはするけど、痛みは無いから平気』
初めて見る宿儺の様子に、あすか、老婆、裏梅は笑った。
「これは女にしか分からんからな。
今のうちに沢山触っておくと良い」
老婆は宿儺に そう言うと、宿儺は あすか の腹を優しく撫でた。
「初産だから少し遅くなるだろうが、あと1月くらいだな」
そう言い、老婆は持ってきた風呂敷を開け、小さな白い肌着を宿儺に渡した。
「少し気は早いが、御婆からの祝いじゃ」
小さな着物を見ながら、宿儺は「礼を言う」と老婆にお礼を言った。