第9章 料理人
警戒心の強い宿儺は老婆に聞くと、老婆は「当たり前だ」と答えた。
「裏梅は御婆の親戚だ。
薬膳料理も作れるし、お前や あすか ほど膨大な呪力は持っていないが強い。簡単な治療程度なら可能だぞ」
そう言って、老婆は ケヒヒヒ、と笑った。
宿「裏梅とやら、早速だが御婆の所にある食材で何か簡単な物を作ってくれ」
品定めだ、と宿儺は言った。
「まったく。大丈夫だと言っているだろうに…」
老婆はため息をつき、裏梅は宿儺から言われた通り台所へ向かった。
あすか は その後ろを追いかけ、『気を悪くしないでね』と苦笑した。
「…大丈夫です。
…言われた事をするまでですから…」
裏梅はそう言って食材を切り始めた。
裏梅が作った料理が3人の前に準備され、宿儺、あすか、老婆はそれぞれ箸をつけた。
『美味しい♪』
「また腕をあげたな裏梅」
老婆はニッと笑った。
宿「………良いだろう」
宿儺も認め、裏梅は料理人兼世話人として 宿儺の屋敷に行くことになった。
腹の子も順調で、あすか の腹を蹴るようにもなってきた。
「ケヒヒヒ、元気な子だな。よく動く」
あすか の腹を撫でながら老婆は優しい目をした。
「裏梅に意地悪をするんじゃないよ、宿儺」
老婆の屋敷から出る時に、宿儺は老婆から釘を刺され「俺はそんなに性悪でないわ」と返した。
3人で宿儺の屋敷に向かうが、裏梅の荷物はほとんど無い。
『裏梅くん、荷物はそれだけなの?』